『バーチャルロンドンマラソン出走報告』- Whitehouse佐藤敦子さん

ロンドンマラソンはワールドマラソンメイジャーズ(世界6大 マラソン)の1つで、ランナーにとっては出走することを夢見 る大会です。毎年4月に行われ、4万人のランナーがグリニ ッジ・パークからドックランズ、タワーブリッジを渡りロンドン 塔、バッキンガム宮殿前、そしてザ・マルをゴールとし、ロン ドンの真っ只中を走り抜けます。 通常はロンドンマラソンに出走するためには、①エリート 枠、②GFA(Good for Age)枠、③チャリティー枠、④一般 参加枠で、条件を満たす人々がそれぞれエントリーをして出 走権利が得られます。①は招待選手やトップ順位を狙える 選手、②は英国在住でそれぞれの年齢で設定されているタ イム内で走れるランナー枠、③はチャリティーのために一定 額の寄付を募ることが必要とされる枠、④はどのようなラン ナーもエントリーできますが抽選で応募者数などにもよって は、12倍から23倍と世界でも最も難関と言われているカテ ゴリーでもあります。私は10年ほど毎年④の枠でエントリー をしていますが、未だ抽選に当たったことがなく、輝かしく 憧れのレースでした。 このレースが、今年はコロナ禍で4月から10月4日に延期さ れ、結局エリートのみで開催されることが決まり、参加予定 の一般ランナーはバーチャルで参加が可能となっていまし た。このバーチャルとは、エリートが走った今年特別に設定 されたバッキンガム宮殿側のセント・ジェームズ・パーク近く の周回コースではなく、自分で決めたコースを10月4日午前 零時から24時間以内に42.195キロをそれぞれが走るという ものでした。そこで、まずバーチャルロンドンマラソン参加枠 は、今年すでに参加が許されていた人々へ招待が入り、その 後45000人までは世界のランナーが20ポンドでエントリーが できる「Most inclusive(最も多様性を受け入れる)」ものと なり、私もこの一般枠で参加が可能となったのでした。

 

 

バーチャルレースに参加する一般ランナーは、当日までに今 回特別に作られたGPSで距離数が確認できるロンドンマラ ソンアプリをそれぞれがスマートフォンにインストールし、好 きな時間に好きな場所で走ることができ、私の走り仲間は 日本、タイ、米国など世界各地で走っていました。 私は今回走るコースをほぼ毎日走っているテムズ川沿いの コースとして、また今年は肩にヒビが入る怪我をして十分な 準備ができていなかったことからも、無理せず42.195キロの 旅を楽しむことを一番に出走することとしました。 当日はほぼ一日雨が降り続くお天気でしたが、私が走ったコ ースは十数人のロンドンマラソン参加 者が走っていて、お互いにすれ違うごと に手を叩いて応援をし合うなど、スポー ツマンシップに溢れたもので忘れがた いものとなりました。タイムはこれまで 5回走ったマラソンの中でも最も遅いも のでしたが、走ることの楽しさを改めて 感じたようにも思います。 今年はロンドンマラソン40年目ということもあり、数日後には 40周年を記念するデザインのフィニッシャー(完走者)のTシ ャツとメダルも届き、改めて完走の余韻を噛み締めることも できました。 私は毎年目標レースを決めて、少なくとも1つのマラソン距 離以上のレースに出ていますが、やは りロンドンマラソンは特別なものがあり ます。いつの日か、ロンドンマラソンのコ ースを4万人のランナーと共に走れるこ とを夢見て、また日々のトレーニングに 励みたいと思います。