二水会

● 11 月二水会の報告●
日時:11 月 10 日 ( 水 ) 午後 8 時より
講師:荒畑太一朗様
演題:福島第一原子力発電所の現状について
会場:Zoom スクリーン上
参加人数:45 名

今年で東日本大震災から10 年が経過しました。震災により様々な被害がもたらされましたが、福島第一原子力発電所は現在、どのような状況になっているのか、今後、どのような方向に向かっていこうとしているのか、東京電力ロンドン事務所の荒畑さんをお招きし、東日本大震災発生当時の様子や現在の状況・課題についてお話を伺いました。
荒畑さんのお話は、2011 年 3 月 11 日に福島第一原子力発電所から東京に帰る途中で震災に遭ったお話から始まりました。
私も自分が東京で仕事をしていた当時を思い出しながら、話に聞き入りました。
まずは、原子力の仕組みや、原子力発電所の建物の構造、放射能・放射性物質、についてのお話があり、それに続いて、原子炉を「止める、冷やす、閉じ込める」ことが安全性確保のために重要であることをお話いただきました。福島原子力発電所では、地震そのものによる被害は目立ったものはなかったものの、津波により、原子炉を冷却する水の供給電源が失われたことが事故の原因となったお話を聞き、当時様々なニュース・メディアで見聞きした情報を改めて確認することができました。それと同時に、当時見た映像が私の頭の中に浮かび上がってきました。震災翌日の土曜日午後、建屋の上部が水素爆発し、白い煙か水蒸気のようなものがポッと吹き出すニュース映像が繰り返し流れていたことを思い出しました。

動画に合わせて、現在の状況についてご説明いただきました。構内の瓦礫の撤去、解体、津波対策などの整備が進み、96% のエリアで簡易マスクと一般作業服で作業ができるようになったと聞き、とても驚きました。また、建屋に流れ込んだ雨水と地下水が交わることを防ぐために、地下水を汲み出す井戸が掘られていて、その他、地下水の構内への流れ込みを防ぐ地中の氷の壁や、海への流れ込みを防ぐ遮水壁の設置、とあらゆる手段で安全性を確保しようとしていることがわかりました。今後も 30 年〜 40 年
を要する廃炉作業を安全・着実に進めるという動画のナレーションがありましたが、長い年月がかかることを感じると同時に、そのお金はどこから出てくるのだろうか、と思うと同時に、40 年後の世界というのは、どのようになっているのだろうか、と頭の中に映像が浮かんでこない未来のことを考えながら、少し漠然とした気持ちで聞いていました。
英国との関連ということもご配慮いただいたのでしょうか、それとも英国が進んでいる面があるのでしょうか、デブリの除去で使用される英国製の長さ22メートルのロボットアームが特別機を使って空輸されたことを画像と共にご紹介いただきました。原発をとりまく「ビジネス」の状況や、各国の取り組みについても、知りたくなりました。また、処理水の処分に関して、トリチウムの取り扱いと世界各国の対応などもご説明いただき、最近のニュースで議論されていることにキャッチアップできた気がしました。


質疑応答では、活発なご発言をいただきました。震災以降、個人的には原子力発電所の「福島」を外して違う呼び方ができないのかと、ずっと疑問に思ってきたことを聞いてみました。
コロナウイルスの変異種の呼び方も「イギリス株」から「デルタ株」にすぐに変更されたことを考えれば、できないことはないように思いましたが、法規制等の関係から名称の変更は容易ではないだろうとのことでした。また、スペインから参加いただいた方からもご質問があり、二水会の広がりを感じるひと時でした。「ワールド二水会」に名前を変更するよう、背中を押されたような気がしたのは、私だけだったでしょうか!?
(伊東ノリ)

12 月は年末・クリスマスで休会となります。