紅葉会 (ZOOM)

●9月紅葉会の報告●

「映画をこよなく愛す」 講師:渡邉道英氏(元映画助監督)

初めに観たのは美空ひばりの映画。そして広島だったので学校 から観に行ったのは「原爆の子」。「ビルマの竪琴」市川崑さんが 映画作られ、大変話題になった。武者小路実篤の「友情」とか、 太宰治の「走れメロス」「南総里見八犬伝」などの映画に影響を 受けた。 中学に入って、日活の映画、石原裕次郎さんとか、石坂洋二郎さ ん原作の「青い山脈」とか「若い人」とか、いう小説を読んで映 画見たり、映画見てから小説読んだり。大学では東京教育大学 の映画研究会の部長になったり、他、東大の教養学部とかの連 中とサークルを組んで、大学映画連盟で活動。試写会を観せて 頂き、感想を出した。1925年にスターリンの革命のとき、乗組員 が政府に反旗を翻す。無声映画だったが、「オデッサの階段」カ ットバック乳母車で逃げる 親子を後ろからどんどん撃ち落として いく。そのカットがすごい。迫る兵隊、逃げる親子が階段降りて いく。カットバック、迫ってくる革靴、逃げる乳母車の繰り返し。 フランスは映画発祥の地。1927年に撮ったルネ・クレール監督の トーキー映画、「パリの屋根の下セーヌは流れる」この辺からミ ュージカル系統の映画がトーキー化されて、この映画が私は映画 の始まりと考えている。BF(I ロンドン映画祭)もご覧になるとい いです。10月から日本映画100年祭スタートします。黒澤明の「7人 の侍」もあります。そこまでに至る映画を全部上映します。 映画は7番目の芸術と言われている。6番目までに絵画、彫刻な ど。ギリシャの時代までに完成されていた。 1927年、映画が始まってからまだ100年もたっていない。これから どんどんよくなる。映画言語も考えられるようになった。言葉で はない、むしろ映像ですべてを表現し、それを皆さんに訴えるこ とができる時代が必ず来るだろう。かって、新藤兼人監督「裸の 島」という映画をとった。ドイツの映画祭でトップをとった。瀬戸 内海の段々畑で黙々と乙羽信子さんと2人で働いている。セリフ なんかない。でも伝わってくるものはすごい。これが理想。テレビ でそれができるか? テレビの基本、同時放送することが強み。オリンピック放映のよ うな。映画のようなものはできない。「羅生門」という映画で大映を知った。オリンピックの翌年に1940年大映に入り、大映の助 監督になった。市川雷蔵さん「眠狂四郎」と勝新太郎「座頭市」 がメインに。面白かった。私は、やはり映画を観てその後、喫茶店 で語りたいような映画を作りたい。 日本ほど映画、芸術に対してお金を使わない国はない。イギリ スでもフランスでも映画にお金をつぎ込んでくれる。映画は80 人くらいのスタッフがいる。数十人数百人で製作するのが映画。 いろいろな専門家で作る。大道具さん、小道具さん、衣装部さ ん。007でも!手作業から超ハイテクまで。。監督部はそれを引っ 張り出して使わせていただく。音楽で例えれば交響曲、ピアノ協 奏曲やバイオリン協奏曲というのでなく、映画はオーケストラの よう。無数の芸術家集団が作ったものが本来の映画であろう。た だし、ヒッチコックは反対に抜いていく、専門的な要素を削ってい く。映画理論の逆説で生まれた。相当賢くないとまとまらない。 俳優から監督になった人もイギリスに多い。「シチズンケーン」と いう映画。いまだに評価されている。アメリカの新聞王について の映画。役者も映画監督もやった。もともとシェークスピアの俳 優。あらゆる技術を使ってる。これを見るといい。オーソンウェー ルズ作った。 コッポラの作ったマフィアの映画と黒澤さんの作った映画「7人の 侍」。この辺ベスト3。映画作品は産業である。商品である。お金 が返ってこないと次の映画が作れない。売れる映画を作って再 生産している。巨大装置産業。スタジオで撮影する。ロケーショ ンでオープンセットでとる。羅生門も嵐山が見えるオープンセット でとる。広大なものがないと撮れない。数億円を投下して数十億 円を回収する。そんな映画は今日本にない。007なんかはそう。そ ういう映画はもともと資本家が集まって、お金を集めて株式のよ うに投資する。 最後にご質問も活発に出て、皆さん、映画がお好きな方が多く盛り上がりました。現在も映画製作中のエネルギッシュな渡邉さん に皆感動しました。渡邉さん、本当にありがとうございました!

●11月紅葉会のご案内●

日時:2021年11月25日(木)
午前11時(10時45分より入場可)

参加費:無料

講演テーマ:ボタニカルアート

講師:石川美枝子様