eVisa のOnline 申請と前段階のNTL の取得について

2024 年5 月29 日水曜日午後8 時より先のセミナーをTFC 総合法律事務所の藤岡輝行英国法
弁護士にご協力いただき、180 名に近い方々に参加をいただき開催しました。

同日は、藤岡弁護士にeVisa の基本の部分をお話をいただき、すでに参加者の方々からいただ
いていた質問を基に、さらにその取得方法について説明いただきました。

まず、eVisa の基本の説明は下記のようになります。

eVisa とは英国における入国・滞在の許可条件と入国・滞在のステータスをオンラインで記録し
たもの。そこで、将来的には現在のように、物理的なビザのステータスを証明する書類やカー
ドを携帯する必要が無くなり、eVisa で英国へ渡航ができるようなる。

eVisa を得るためには、まずNo time Limits(NTL)を取得する必要がある。NTL は、無期限
入国許可(ILE)または無期限残留許可(ILR)を持っているものの、Biometric Residence
Permit (BRP)やBiometric Residence Card(BRC)を未だ持っていない人が、BRP を取得
するための行政手続きで、BRP と同様と考えてよい。

すでにBRP やBRC を持っている場合は、この有効期限は2024 年12 月31 日までで、eVisa
申請開始の連絡が入るのを待ち、連絡後にUKVI アカウントを作成し、手続きを開始。今年10
月1 日には連絡が無くとも取得手続きが可能になるとのこと。この切り替えには1 週間から10
日ぐらいで可能であるはずとのこと。

eVisa 手続きは2024 年末までに終了する必要があるとされている。

NTL 申請からeVisa 以降手続きに必要とする期間はeVisa 関連サイトでは6 か月とされている
ものの、この期間より短く取れる可能性はある。

NTL 申請からeVisa 以降の手順は下記の通り。

  1. オンライン申請
  2. Supporting Documents(ビザを得てから英国に滞在していたことを証明する書類)のアップロード
  3. ビザセンター(UK Visa and Citizenship Application Services:UKVCAS)に出向き、ここで顔写真の撮影と指紋の採取およびパスポートのスキャンが行われる。

NTL 申請のために当初必要となる情報

  • 姓名
  • 自宅住所
  • 生年月日と出生地
  • パスポート情報(パスポート番号、Issuing and expiry dates、発行官庁)
  • 永住権(ILR)取得年月日

NTL のために提出する書類(スキャンした書類をサイトでアップロード)

  • 永住権(ILR)取得からの全てのパスポート
  • 住所を証明できる書類(例 本人宛に来ているCouncil Tax Demand Notice、Utilitybills、Bank statements、Driving Licence 等)
  • 永住権(ILR)取得後に英国に居住していた証明(例 本人宛に来ているCouncil Tax Demand Notice、Letter from GP confirming dates of attendance、Original Document showing ILR 等)先の書類が全てない場合は、永住権(ILR)取得以来の居住を証明できるあらゆる情報を集める。

NTL 申請しBRP を取得した後に、UKVI 口座を開設し、eVisa への移行が可能となる。

年末までにeVisa が取れなかった場合の問題は、国外に旅行に出られて、英国入国時にElectric
Gate が何らかの理由で機能しなかった場合、入国に時間がかかる可能性があり、数年後には
eVisa が無いことでさらなる問題がある可能性がある。

なお、eVisa の申請はしているものの手続きが終了していない場合は、入国時に、NTL 申請過
程であれば関連コレスポンデンス、BRP まではある場合はこのカード、eVisa 申請中であるこ
とを証明する書類などを見せることで入国ができるであろうとのこと。

次に質問に沿って次にように回答をいただきました。

  1. eVisa は絶対に必要ですか
    必要です。まず、英国入国時にElectric gate を何らかの理由で通れなかった場合、時間がかかる可能性がある、また、将来的に無いことで問題になる可能性があり、ひとまず取得する手続きはすべき。
  2. 日本に出国時に航空会社や出入国管理局がチェックをするのか
    おそらくはチェックはない。それは、観光客などもいることから、永住者だけのチェックがあるとは思えない。
  3. 費用について
    NTL 申請、BRP カード取得、eVisa 以降手続きで英国政府に支払う費用はない。しかし、英国政府が下請けとして設置しているビザセンター(UKVCAS)を利用する際に、予約の時間や場所によって無料から有料である場合があり、この平均的費用は約240 ポンドほど。また、追加サービス(例 居住を証明する書類をスキャンしてアップロード、通訳、書類確認)を受ける場合は、追加費用が発生する。
  4. eVisa を取る前にBRP を取得する必要があるのか
    eVisa を取るための口座を開設する前にBRP を取得するためのNTL 申請をする必要がある。
  5. 期限までにeVisa が取れなかった場合はどうするか現在保有しているペーパーベースのビザ(ILE またはILR)やBRP は有効であるために、これらを利用する。
  6. 病気療養中等でビザセンターに行けない場合はどうすきか
    Home Office へ相談をすべき。弁護士などを通じて聞いてもらうことも可能。
  7. BRP をすでに保有している場合
    Home Office からの連絡を待つ。連絡が無ければ、夏以降(10 月1 日以降との情報がある)は連絡が無くてもオンラインでeVisa への移行ができるようになり、BRP のカードの番号を入れるとeVisa が申請できる。
  8. コンピューターを使えない場合
    TFC Legal で代行することが可能。その場合の費用は250 ポンドプラスVAT。TFC Legal の連絡先詳細はこのまとめの最後に記載。
  9. パスポートが申請中に切れる場合
    英国政府はBRP で管理しているので、保有されているパスポートが申請中に切れても問題はない。
  10. 日本のパスポート上で日本名にプラス英国名を括弧で入れている場合はどうするべきか
    これは、そのまま記載。括弧やハイフンはサイトで受け付けない可能性があるために括弧を除いて記載してはどうか。
  11. 書類が全てない場合はどうすべきか(永住権を取得後のパスポートから現在のパス
    ポートの中に、見つからないパスポートがある場合も含めて)英国に居住していたことを証明できると思う書類を全て用意して申請。Home Office が連絡をしてきた場合はその時に対応する。あまり心配をすることはない。
  12. eVisa 関連の申請のページはどのように見つけるべきでしょうか。
    eVisa で検索をする。
    eVisa に関してのサイト:https://www.gov.uk/guidance/online-immigrationstatus-evisa
    NTL の申請に関するサイト:https://www.gov.uk/biometric-residencepermits/replace-visa-brp
  13. 手続きのステップについて
    ① NTL を申請をする
    ② 居住を証明する必要書類をアップロードする
    ③ ビザセンター(UKVCAS)でパスポートをスキャンし、顔写真の撮影、指紋採取もし書類がアップロードできない場合は、ビザセンター(UKVCAS)でアップロードするサービスも追加費用を支払うことで可能。
  14. ビザセンター(UKVCAS)で手続き後はBRP が届くのを待てばよいのか
    そうです。ビザセンター(UKVCAS)で手続き後BRP が届くのは通常は2 週間と言われているが、ひと月から2 か月かかる場合もある。しかし、手続き後、BRP が届くというメールが来るために、これを必要であれば利用して、BRP が届かない場合は関係機関へ連絡、また海外旅行などがある場合は表示。
  15. NTL 申請後にビザセンター(UKVCAS)の予約のタイミングについて
    NTL 申請後、ビザセンター(UKVCAS)で予約できる日がオンラインで確認できるために、ご自身の予定に沿って予約を入れると良い。
  16. 日本大使館発行の在留証明書は滞在証明として使えるのか
    異なる政府発行の書類であるために、おそらくは使えないだろうとのこと。
  17. 弁護士に頼んでBRP の取得をしている場合、同じ弁護士に手続きを頼むべきか
    利用した弁護士に相談をして判断すべきでしょう。
  18. ビザセンター(UKVCAS)の書類のスキャニングサービスについて
    ビザセンター(UKVCAS)サイトによると56 ポンドとのこと。これで、必要書類をスキャンしてサイトでアップロードするところまでしてもらえる。その他、スキャンサービスを含む追加サービスの詳細はサイト(https://www.ukvcas.co.uk/additional-services)を参照。
  19. BRP 申請中に旅行はできるでしょうか
    規則上は申請中に旅行はできない。しかし、これは駐在員の方の場合で、BRP をまだ持っていない場合は、今までペーパーベース(ILR)のVisa で旅行をしてきたということでできるとは思うものの、建前としてはできないと言わざるを得ない。
  20. eVisa は今年中に取得すべきなのか
    英国政府は今年中と言っているために建前では年内に行うべき。しかし、この申請を行う人々が10 万人を超えていると思われ、英国政府が手続きが実際に年内に処理できない可能性もあり、年初に何らかの新たな発表がある可能性はあるかもしれない。しかし、現段階では年内にeVisa を取得する努力をするべき。
  21. ビザセンター(UKVCAS)への通訳や付き添いは可能か
    TFC Legal 社では駐在員の家族のBRP 取得のための手伝いを、下請けのVisa 専門の業者に頼んでいる。このような専門家に頼むことで、何らかの問題が出た際に素早く対応をしてもらえる利点はある。また、家族以外の第三者の通訳や付き添いはおそらく受け付けてもらえないだろうとのこと。
  22. 専業主婦で居住を証明する書類が少ない場合はどうするか
    Council Tax Demand Notice にご自身の名前が出ていれば使い、とにかくできる限りのものを見つける。
  23. アップロードする書類が多い場合も口座に十分な容量があるかについて
    必要書類を全てアップロードできる十分な容量があるとのこと。
  24. ご夫婦の申請は同時にできるか
    申請は一人ずつしなければならないものの、同時期にすることはできるのではないか。
  25. BRP をeVisa に切り替えた後、eVisa に有効期限はあるのか
    未だその詳細は発表されていない。
  26. BRP からeVisa への切り替えにどのくらい時間がかかるのか
    1 週間から10 日。
  27. 日本からeVisa の申請はできるか
    NTL 申請後BRP を取得するための面接は英国で行われなければならないので、基本は英国で行うべきであろう。BRP を取得していれば、日本からの申請はできると思われる。
  28. BRP をeVisa に切り替える際の書類の提出はどのようなもの
    すでにBRP を取得している場合は、書類の提出は最小限であると思われるとのこと。
  29. NTL 申請後のビザセンター(UKVCAS)での面接の際は、全てのパスポートが必要
    ですか。その場合多くのパスポートを持っていくと費用が追加発生しますか。
    全てのパスポートは持っていくべき。数が多いからと言って追加の費用は発生しないだろう。
  30. Visa としてレファランス番号が記載されているRON60 という手紙をもらっている。この書類を申請時に利用できるか
    できます。
  31. すでに7 月に日本に行く予定があるがeVisa 取得のためのBRP 申請前に帰国をしても良いか
    全く問題がない。
  32. 子供のeVisa 取得に関して、子供が在住した証明の書類はどのようなものか
    学校からの就学期間の証明書やGP からの出生後登録期間の証明書等。一般論として子供の英国居住を証明する書類を準備する事は難しいと考えます。親のeVisa が要件をクリアーしていて取得できれば、子供のeVisa は英国でのfull Birth Certificate 提出程度で取得可能と考えます。

参加者からの追加情報

  1. 地方になりますが、Peterborough のビザセンターは比較的無料のスロットがある。Peterborough へはキングスクロス駅から1時間ほどで往復でも30 ポンドで行け、駅からも徒歩20 分ぐらい(タクシーでも5 分10 ポンドほど)にビザセンター(UKVCAS)がある。ミッドランド会でそのほかの(ノッティンガム、リーズ、ダービーなど)センターは無料のスロットはほとんどなく、どこもいつも有料とのこと。
  2. ビザセンター(UKVCAS)の予約は毎日4 週間先の日が追加されるので、朝9 時にアクセスすると、どこのセンターも4 週間先の無料スロットがあるようだとのこと。ただし、ウィークデーのみかもしれない。
  3. BRP 保有をしており、GOV から4 月24 日BRP カードからeVISA へ切り替える申請を行えるメールが届き、eVISA はスマートフォンのAPP が必要なようだとのこと。そして、その際に記載されていたのは下記の通り。
    You need to replace your BRP with an eVisa now
    Please take the following steps now:
    • Create a UKVI account to access your eVisa, which will replace your BRP.
    • To create your UKVI account, you will need:
    • Your date of birth
    • Your BRP Number
    • Your passport (if you do not have a BRP)
    • Access to an email address and phone number
    • Access to a smartphone
  4. eVisa 申請中であれば、年内に全てが完結しなくても大丈夫であるとイミグレーションで確認をしたとのこと。
  5. GOV ホームページ: https://www.gov.uk/guidance/online-immigration-statusevisa の中に、If you have not yet been contacted about creating an account, you’ll be able to create your account and access your eVisa later in 2024. Sign up for updates on this page to keep up to date on when you’ll be able to access your eVisa. とあり、このリンクでサインアップするとアップデートの情報を入手できるとのこと。

以上

文責 Whitehouse 佐藤敦子

先のまとめは講演者の藤岡輝行(Terry Fujioka)様に確認をいただいたものです。なお、藤岡様の連絡先は下記のようになります。

TFC Legal (TFC 総合法律事務所)
サイト:https://tfclegal.co.uk/
住所:80 Coleman St, London, EC2R 5BJ
メールアドレス:fujioka@tfclegal.co.uk
tel: 0207 614 5830 (office)
tel: 0207 614 5831 (direct)

講演会まとめ

2024年2月22日日本の介護保険の現状(講演資料)ウェブ上で開く
2024年2月22日 日本の介護保険の現ウェブ上で開く
2023年11月8日高齢期に気をつけるべき健康についてウェブ上で開く
2023年4月15日認知症になっても希望の持てる社会を目指してウェブ上で開く
2022年10月19日人生後期に準備すべき法律手続きの基本についてウェブ上で開く
2022年4月21日人生後期のファイナンシャルプラニングの基本に戻って考えるべきことについてウェブ上で開く
2021年11月13日海外在住者だから知っておきたい日本の年金~制度、しくみ、手続についてウェブ上で開く
2021年6月30日ケアホームとそのファイナンシャルプラニングウェブ上で開く
2021年2月24日日本と英国にまたがる国際相続~資産と相続人についてウェブ上で開く
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2018年10月4日英国の医療及びソーシャルケアシステムに関してウェブ上で開く
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