ナルク(NALC)部 について

ナルク部について

日本の100歳以上の長寿者が2013年に5万人を超えました!

英国在英の皆さんもご一緒に生涯現役で元気に長生きしませんか?

ナルク部のご案内

「自立」、「奉仕」、「助け合い」、「生きがい」の理念で、1994年に日本で誕生したNPO法人ニッポン・アクティブライフ・クラブ(Nippon Active Life Club)、通称ナルク(Nalc)の英国拠点として、2013年7月に英国日本人会(JA)の部としてボランティア活動推進を目的に設立されました。

 

助け合い

「困ったときは親しい仲間が気兼ねなく助け合おう」、会員同士が助け合うことをモットーに、資格、経験、知識、特技などをお互いに提供し、支援しあうことを目的とし、無償で奉仕した1時間を1点として、ナルク部預託し、自分や親、配偶者が助けを必要とするときに、預託点数を引き出して、他の会員に助けてもらう、これがナルク部の時間預託システムなのです。

支援活動例:コンピューター関連のサポート、庭の手入れ、病院への送迎、留守番サポートなど。

 

遠距離介護

日本に残したご両親のこと、ご心配ではありませんか?

時間預託システムで預託した点数を、遠く離れたご両親のケアに利用できます。日本全国150か所のナルク拠点を通して、「遠距離サポート」が受けられます。

 

ポイントの仕組み

英国日本人会(JA)へ入会した時点で、自動的に預託点数10点が付与されます。そして、会員の方が必要としているサポートをお手伝いいただいた際には、その活動の内容に応じて点が加算され、ご自身がサポートを受ける際は、お持ちの預託点数をご利用いただけます。

こうした活動は、生きがいや健康が促進されると同時に仲間との親睦とコミュニケーションが深まり、自立を一層促進してくれることでしょう。

ナルク部への参加は、JA会員であることが条件となります。

 

お問い合わせ先

JAナルク部:nalc@japanassosiation.org.uk

 

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英国日本人会ナルク部主催「英国でのケアホーム費用とそのファイナンシャルプランニングについて」のセミナーのまとめ
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2021年6月30日(水曜日)午後2時より、先のセミナーがSt James Place Wealth Managementのアソシエート・パートナーの新井康人様をスピーカーとしてお迎えして、60名の方々に参加いただき、オンラインで行われました。
そこで、下記にそのまとめを記載します。
まず、簡単に後期のファイナンシャルプランニングとしては、下記を考える必要があるとし、同日は長期ケアに関して説明をいただきました。

• 相続税
• Will(遺言書)及びLasting Power of Attorney(LPA)
• リタイア後の定期収入
• 長期のケア(必要となった場合)

統計的に現在の英国においては、平均的寿命は現在65歳の男性は85歳、女性は87歳となっていて、85歳以上の人口が増加しているとのこと。しかし、その寿命は生活環境等で25年ほど異なってもいる。
57,000人の人々が自己負担で毎年ケアホームに入所。そして、自己負担でケアホームに入っている人々が毎年支払っている費用は109億ポンド。
健康に暮らしている期間を意味する健康寿命は、英国においては実際寿命よりも3年から5年短い。
同日の長期ケアの説明としてお話いただいた項目は下記の通り。

1. ケアの種類
2. ケアの費用
3. 国から受けられる給付金
4. ケア費用支払いの方法
5. ケアを受ける可能性に基づいた長期的なファイナンシャルプランニング

1. ケアの種類
• 自宅で家族やボランティアや専門家によるケア
• Residential Care(看護ケア以外のパーソナルケアを提供)
• Nursing Care(Residential Careのケアに加え医療的看護ケアも提供)

2. ケアの費用(2018年/2019年のデータ)
• イングランドでResidential Careは平均週645ポンドに対し、Nursing Careは平均で週896ポンド。
• そのうちロンドンでは、公営と私設の年間平均費用はResidential Careで38,688ポンド、Nursing Careで46,904ポンド。
• 10年間で50%値上がり、つまりは年率換算で4.1%ほど。インフレ率が2%~2.5%である中で、値上がり率はかなり高い。

3. 国から受けられる給付金
• Attendance Allowance
資力検査無く、課税対象外。65歳以上で精神的または身体的障がい者があり、6か月以上のケアが必要。受給額はLower RateとHigher Rateがあり、一日に朝昼のケアが必要な場合(Higher Rate)は週89.60ポンド、朝か昼に一度ケアが必要な場合(Lower Rate)は週60ポンド。インフレ上昇率に沿って調整される。
• Personal Independence Payment
対象が16歳から65歳までの方である以外は、ほぼ先のAttendance Allowanceと変わらない。受給額はLiving Componentは先と変わらずStandard Rate(先のLower Rate)とEnhanced Rate(先のHigher Rate)。それに加えMobility componentがある。Lower rateが23.70ポンド、Enhance rateが62.55ポンド。
• Carers Allowance
ケアをしている人への給付金。16歳以上で、最低週35時間ケアをしている人。イングランドに少なくとも過去3年間に2年間居住。週21時間以上のフルタイムで教育を受けている人を除く。税引き後、仕事中のケア費用を差し引き、年金の半分を除いて、週128ポンド以上の収入がある場合も受給不可。週67.60ポンド(課税対象)
• Registered Nursing Care Contribution
資力検査なく、課税対象外。Residential Careに滞在していながらも、NHSの看護師が定期的に看護する場合なども対象。支払いはNHS Clinical Commission Group(CCG)より行われ、イングランドにおいては2021年4月段階で週187.60ポンド。

4. ケア費用の支払い方法
• 加齢によるケアについて
地方自治体の管轄で資力検査(Means Tested)がある。
• Continuing health careについて
当初ケアが必要となった理由が病気や怪我で、ケアに医療行為が含まれる
場合は、NHSの管轄であり無料。この受給資格はCCGが判定。

ケア費用の支払いに関する判断方法について
• 地方自治体がニーズに応じてケア費用を算出し、個人名義収入や資本と共同名義のものは50%の資本を確認する資    力検査を行い、誰が支払うべきかを判断。
• Personal Expenses Allowance
収入の中から、イングランドにおいては週に24.90ポンドは経費として認められ対象外。
• Capital Assessment
イングランドにおいて、23,250ポンド以上の資産がある人は、ケア費用は全額負担。
• Capitalに含まれないもの
o 自宅がTrustに含まれている部分や、投資型生命保険。
o 次の場合は自宅であっても含まれない。①配偶者やパートナーが居住している。②60歳以上の親戚が居住。③障害を持つ親戚が居住。④18歳以下の子供が居住。⑤前記の条件を満たさない場合、ケアホームへ移って最初の12週間。
• 下記の場合は資本に含まれない贈与と認められない。
o 贈与が6か月以内の場合。6か月以上でもCapital Assessmentを逃れる目的とみなされた場合。

5. ケアを受ける可能性に基づいた長期的なファイナンシャルプランニングの例

• The Deferred Payment Agreement
自己負担のケア費用を地方自治体と交渉して建て替えをしてもらう。そして、亡くなった際に自宅を売却して支払う。
• 不動産を賃貸に出す
• Equity release
ケアを自宅で受けたい場合、自宅を担保に銀行からケア費用を借りる、Life time Mortgage(60歳以上であれば利用可能)等。
• 資産を現金化
• 現金としておくのではなく投資し、それを必要に応じて利用
• Care Fee Annuities

ケア費用を捻出するために、一括で支払い、毎月の収入を得る。
以上はプランニングの一例で、それぞれ長所・短所がある。実際には、個人の状況に合わせた最適なプランニングをケアフィープランニングの資格を持つファイナンシャルアドバイザーに、相談するのが良い

最後にLasting Power of Attorneyの重要性を再度お話しいただきました。それは、ケアが必要となった際に、その詳細を自分自身で決めるのは困難である可能性がある。そのために早い段階で、その費用のためのファイナンシャルプラニング、どのようなケアを受けたいのかを含めて、ご自身に代わり誰が責任を持つべきなのかということを考え決めていることは重要であるとのこと。
それに加え、まずは下記について少なくとも検討をしておくことが必要でないかとお話しいただきました。
I. ケアが必要となった際に十分な資本・定期収入があるのか。
II. ケア費用は保有資産を早いペースで使いきってしまう可能性があることについて。
III. 現在保有されている投資資産をケア費用支払いでどのように効率よく利用するか。
IV. 最も節税効果のある方法を考慮されているか。
V. 資産を家族に残す、または自分が使い切るのか等についても考慮されているか。
VI. もし自宅を売却せざるを得ない場合について。
同日のまとめは下記の通り。
A. ケア費用は基本ご自身が払うことになる。
B. 地方自治体からの給付金は多額ではない。
C. ケア費用の捻出方法は個人個人で異なる。
D. このようなファイナンシャルプラニングは今後より専門家を必要とすることになるのではないか。
Q&A
質問
リタイアメントアパートメントを投資目的で購入する場合のメリットとデメリットについて
回答
リタイアメントアパートメントはケアホームとは少し異なる。リタイアメントアパートは基本独立した生活をする場所であるが、追加高齢者向けサービスがある。そのために、サービスチャージが高く、購入者の年齢制限もある。そこで、Buy to letなどの投資目的としては考えるべきではないのではないか。それは、テナントがいなくても高いサービスチャージが発生することから。そのため、投資目的であれば普通の不動産を購入してはどうか。
質問
Registered Nursing Care Contributionの位置づけについて 
回答
NHS Clinical Commission Group(CCG)によって支払われる給付金。NHS Continuing Careから外れてもRegistered Nurseの看護が必要な場合、CCGから給付を認定されれば、ケアホームへ直接支払われる。例えば看護ケアのないResidential Careに滞在していても、看護が必要な場合は申請すれば、CCGから補助が出て、Registered Nurseの看護を受けることができる。
質問
資本が23,250ポンドを超えた場合も、地方自治体からの援助は無いものの、病気などによるケア費用はNHSが支払うと考えて良いのか。
回答
病気の場合はNHSがそのケア費用は全額支払う。
質問
自分の資本でケア費用を賄い、その資本が尽きた場合、地方自治体から援助は受けられるのか。
回答
受けられる。それは、Care Assessmentはご自身の健康状態が変わった際や、長期ケアが行われて資力が途絶えた際など、随時申請できるので、その状況に応じて援助を受けられる可能がでてくる。
質問
看護が必要な場合は、Nursing CareやResidential Careに関わりなく受けられるのか。
回答
医療看護が必要と認められた場合はケアホームでNursing Careが受けられる。
質問
アルツハイマーや認知症になったために、Nursing Careが必要な場合、CCGからの補助が出るのかについて。
回答
アルツハイマーが対象かどうかということではなく、総合的な判断になるので、まずは申請をして、補助が出るかを確認されるべき。

そして、新井氏が勤めるSt James Place Wealth ManagementはCare Conciergeという、ケアホーム選択や給付金申請等のケア関連を包括サポートする会社と提携したために、興味があればご一報くださいとお話しいただきました。
特記事項:先で記載されている内容と数値は現時点(2021年6月30日)での情報ですので、将来的変更される可能性があります。
先のまとめは英国日本人会ナルク部でまとめ、新井氏に確認いただいたものです。
なお、新井康人氏の詳細は下記のようになります。
Yasuto Arai DipPFS,
Yasuto Arai Wealth Management
Associate Partner Practice of St. James’s Place Wealth Management
Mobile 07557 797310
Email yasuto.arai@sjpp.co.uk
Website https://partnership.sjp.co.uk/partner/yasutoarai

以上

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●6月30日ナルク部主催「英国でのケアホーム費用とそのファイナンシャルプランニングについて」
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JAナルク部でこの数年開催させていただいています、人生後期に考え、準備をするエンディングノートの関連セミナーとして、6月30日にオンラインセミナーで英国でのケアホームの費用とそのファイナンシャルプランニングに関して、ファイナンシャルアドバイザーの新井康人様にお話をお聞きすることとなりました。

そこで、参加ご希望の場合はGoogleフォームでお申し込みください。

https://forms.gle/84Y3G2iy63nuUyPB9 ●

セミナー前日に招待リンクをお送りします。

なお、個人的なご質問はセミナー時ではなく、別途新井様へご連絡いただくことをお願いしますが、今回は一般的な質問に関しては事前に受付させていただき、その内容を参考にできる範囲でお話をいただくことを予定しています。そこで、そのようなご質問に関しては準備の都合からも先のGoogleフォームの参加申し込み用紙上、もしくは6月23日までにメールでご連絡いただきたくお願いいたします。

それでは、セミナー詳細は下記をご覧ください。

よろしくお願いいたします。

JAナルク部
nalc@japanassociation.org.uk

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日時:2021年6月30日(水)午後14時より(BST英国時間)
講演内容:英国でのケアホーム費用とそのファイナンシャルプランニングについて
講師プロフィール:新井康人(あらいやすと)DipPFS, Associate Partner of St. James’s Place Wealth Management.

1992年京都大学経済学部卒。卒業後、外資系金融機関の株式トレーダー、ポートフォリオマネージャーとして、東京(1992-2002)香港(2002-2013)ロンドン(2014-2017)で勤務。2013年よりイギリス在住。2018年英国永住権取得後、英国ファイナンシャルアドバイザーの資格Diploma in Personal Financial Planning(UK)を取得。同年11月より正式にSJPアソシエイト・パートナーとして業務開始。Web:www.yasutoarai.co.uk Email: yasuto.arai@sjpp.co.uk

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「日本と英国にまたがる国際相続~資産と相続人について 」のセミナーについて
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2021年2月24日(水曜日)11時から英国日本人会のナルク部では先のセミナーをオンラインで行いましたので、報告させていただきます。

当日は80名を超える方々に参加いただき、事前にいただいた質問や当日も多くの質問をいただくなど、参加者の皆さんに活発に参加いただきました。

当日の内容は、私は専門家ではありませんので技術的なことはできるだけ避けて、どのようなことについてお話をいただいたかについて下記で触れさせていただきます。

 

今回のセミナーでは、日本と英国にまたがる国際相続ということからも、イングランド及びウェールズ法に基づいたお話をコグニティブ法律事務所のリチャード・ベイツ弁護士とホークス真弓弁護士に、そして、日本法に基づいたお話を渥美坂井法律事務所・外国法共同事業のロンドンオフィス代表の金久直樹弁護士にしていただきました。

 

リチャード・ベイツ弁護士とホークス真弓弁護士には昨年2月に「人生後期に考えておくべき法的手続き」のセミナーをしていただきましたが、今回はポイントを日英にまたがる国際相続にしぼりながらも、前回お話しいただいた重要な点も抑えながらお話をいただきました。

 

まず英国内には司法管轄が複数あり、①イングランド及びウェールズ法(以降イングランド法)、②スコットランド法、③北アイルランド法と別れていますが、このセミナーではイングランド法に関する相続に限ってでの説明であるという前提で、下記の項目についてお話しいただきました。

  • Conflict of Laws & at Common Law
  • Grant and Assets in English Law
  • Immovables and jurisdiction
  • Concept of Domicile
  • No will or insufficient will
  • Inheritance Tax (IHT)
  • Best Practice

国際相続時においてそれぞれの司法管轄地の私法間の差異(Conflict of laws)が明るみなった場合、それぞれの法律間で厳密な取り決めが決まってないので司法管轄間の調整の手間やコストがかかる可能性があるため、相続問題に関しては司法管轄の別をわきまえた上でご自身があらかじめおできになることを再検討されることが肝要であると指摘がありました。

その上で、イングランド法における資産の概念とGrantの効力とPersonal Representatives(PR)の権限の説明をいただきました。

そして、Domicileの概念について説明をいただき、何を以てUK内にDomicileがある(日本語的な考えでは「定住地」の考え方に近いと考えます)と考えるのかという問題が、国際相続においても英国での相続税(IHT)の観点でも重要であるとお話しいただきました。

たとえば、夫婦間の贈与においては夫婦が共にUK内のDomicile(UK Domicile)であればIHT課税控除の対象となるが、UK Domicileから非UK Domicile(Non-Domicile)への贈与・相続は控除対象額に制限がある点の指摘がありました。

前回のセミナー同様、英国内にお持ちの資産に対しWill(遺言書)を準備することが賢明であること、また、Willとして有効とみなされるものがなかった場合の危険性を説明した上で、遺言書は英語である必然性はないが、英国で有効なWillと判断されるものを残しておく重要性があると勧告がありました。

また、資産が日本にある場合、日本法において相続の問題が起こらないように日本法専門家のアドバイスを受けたうえで必要な書類を作成するほうが賢明だろうと提言がありました。

 

英国での相続税(IHT)の基本としては以下の言及もありました。

  • UK Domicileの故人の場合、英国内外の全資産がIHTの対象になること。
  • 相続税の非課税枠は現行32万5000ポンドだが、生前7年間の贈与分もIHT税の課税対象(課税対象額にの税率は現行40%)になること。
  • UK Domicile同士の夫婦やCivil partner間の譲渡・相続は相続税控除になること。
  • 相続税控除の対象のほかの例としてはチャリティー団体への贈与もあるが、英国外のチャリティーへの贈与の場合は、その団体が英国でのチャリティー規定と合致するかだけでなく、正式名称や所在地、登録番号などをきちんと確認したうえでWillにきちんと記載すること。
  • 自宅を直系子孫に贈与した場合のIHT控除額は、現行17万5000ポンド。

最後に重要な点として下記をお話しいただきました。

  • 資産が‘在する司法管轄圏の法律に沿って遺言書に匹敵する書類を準備するべきではあるものの、複数の司法管轄下で遺言書を持つことによって各々の遺言書の内容を無効にすることのないように注意が必要。
  • Domicileの判断と相続税の理解については専門家と相談することが賢明。
  • 英国内での後期ライフプランとしてはLasting powers of attorney(LPAs)の作成も考慮すべき。

次に日本法についてお話しいただいた金久直樹弁護士からは下記のトピックでお話しいただきました。

  • 複雑な国際相続
  • 準拠法の決定
  • 法定相続分と遺留分
  • 遺言
  • 相続税

国際相続は下記のような点から複雑。

  1. 国際私法上の対立

日本が相続統一主義に対しイングランド法では相続分割主義。

  • 相続統一主義:相続財産が不動産か動産かを問わず、相続関係を一体的に、被相続人の本 国法や住所地(domicile)法といったその人に固有な法を適用して、統一的に規律
  • 相続分割主義:相続財産に着目して、不動産と動産の相続を区別し、不動産については不動 産の所在地法を、動産については、被相続人の本国法又は住所地法を適用
  1. 実体法上の対立

日本が包括承継主義に対しイングランド法では管理清算主義

  • 包括承継主義:相続開始の時点で被相続人の財産は積極財産か消極財産かにかかわらず、 すべて相続人や受遺者に帰属するという考え方
  • 管理清算主義:被相続人の財産は、いったんすべて遺産財団(estate)に帰属し、裁判所の 管理下で管理清算手続(probate)を行った上で、プラスの財産が残った場合にはじめて受遺 者又は相続人に相続財産が分配される

準拠法の決定に関しては、次の法が適用される。

  • 通則法36条で「相続は、被相続人の本国法による」
  • 同法38条3項「当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法 (そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。」

ただし、日本法が適用される場合は遺留分に注意。それは、遺言でも排除されない相続人の最低限の相続分があるため。

遺言の作成方法は下記の通りで、やはり日本に所在する財産については日本法方式の遺言を残すべきとのこと。

  • 自筆証書遺言:全文手書き、方式が厳格(ただし近年の法改正で若干緩和)、証人不要 だが裁判所での検認が必要(法務局で保管されている場合は不要)、海外でも作成可、紛 失等のおそれあり
  • 公正証書遺言:公証人が作成(日本での作成が必要)、証人(親族以外)二人の立会 い、原本は公証役場で保管、検認不要、手数料は遺産の金額と相続人の数により異なる

相続税の基本は下記の通り。

  • 土地・建物や預金等の財産から借入金や未払金等の債務を引いた正味の遺産額が基礎控除額 以下の場合は、相続税はかからない

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

  • 生命保険金や死亡退職金は、それぞれ非課税限度額(500万円×法定相続人の数)までは相 続税はかからない
  • 相続税の配偶者控除:被相続人の配偶者が相続した遺産額に対する税額については、法定 相続分もしくは1億6000万円までのいずれか多い金額に対応する額まで税額控除される
  • 相続人が日本国外に居住している場合は、相続により取得した財産のうち日本国内にある財産 だけが相続税の対象になる。ただし、財産取得時に日本国籍を有しており、被相続人の死亡日 前10年以内に日本国内に住所を有していた場合等、一定の場合は、日本国外にある財産につ いても相続税の対象となる

最後にすでにいただいた質問と同日いただいた質問にお答えいただきました。

Q: 英国の遺言に日本にある団体へ寄付する場合気を付けること。

A:  日本の団体の詳細が明確であること、チャリティー団体である場合は、相続税が免除されるチャリティー団体にあてはまるものであるかを確認されること。

Q:  日本にある資産を英国籍の配偶者に相続させるために気を付けること。

A: 日本資産については日本法が適用。そのため、日本の遺言は必要で、できればそれぞれの国で遺言を準備されること。

Q: 日本の動産と不動産を日本在住の家族に相続させる場合。

A: 被相続人が英国のDomicileの場合は日本の動産・不動産であっても英国の相続税の対象。それに対し、Non Domicileの場合は日本の動産と不動産は英国の相続税対象外。英国、もしくは日本でその相続税が支払われている場合は、二か国間で二重課税を回避するため控除が認められる場合があるが、詳細は税理士に確認することが望ましい。

Q: 英国に住む子供が日本の親が亡くなり日本資産の相続がある場合、日本と英国のどちらの法律に沿うのか。

A: 日本国籍を有する親が亡くなった場合は、日本法に従う。

Q: 日本国籍を所持している場合、英国で英国籍の夫の相続に問題があるか。

A: 通常の相続の手続きが必要であること以外は、日本国籍であるための問題はない。

Q: 遺産分割協議書を作成のために日本に入るべきところ、コロナ禍入れない場合の日本政府による考慮はあるのか。

A: 遺産分割協議書の作成自体は日本で行う必要はないが、日本で行う必要がある相続のための諸手続きについて、親族等に頼むことができないようであれば、日本の弁護士や税理士などの専門家を代理人として立てて、手続きを行う。

*¹Domicile of choiceでNon Domicileとしても、Deemed Domicile(英国歳入関税庁によって過去20年内に15年間英国居住者であればDomicileとみなされる等)もあり、詳細は専門家へ確認をする必要がある。

*²2021年4月5日まで

最後になりましたが、先のまとめはWhitehouse佐藤敦子が行い、ホークス真弓弁護士と金久直樹弁護士に内容の確認をしていただいています。また、このセミナーの連絡などは今月のナルク部のコーディネーターのミルロイ美紀さん、そして入室許可は美紀さんと共に山口ゆかりさんにお手伝いをいただきました。

なお、今回セミナーにご協力いただきました弁護士の方々の連絡先は下記のようになります。

コグニティブ法律事務所

リチャード・ベイツ弁護士 電話 01273 284012 Email: richard.bates@cognitivelaw.co.uk

ホークス真弓弁護士 電話020 3034 0501 Email: Mayumi.hawkes@cognitivelaw.co.uk

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業

ロンドン代表金久直樹弁護士 電話 (0)203-696-6540 Email: naoki.kanehisa@aplaw.jp