●2023年1月の報告●


日 時:1月11日(水)午後8時より
講 師:バロウ由紀子様
演 題: ヴィクトリア&アルバートミュージアムの裏舞台、 修復士(CONSERVATOR)の仕事についてのミニガイド 会 場:Zoom スクリーン上

参加人数:55名 (※個人の感想のため、聞き間違いなどにより、正確性に欠け る、または誤解がある可能性があります。)

ヴィクトリア&アルバートミュージアム(V&A)の舞台裏はどうな っているんだろう?仕事内容にも興味がありましたが、どのよ うに仕事を始められたのかも知りたいと思っていました。日本 の大学で家具のデザインの勉強をされ、イギリスの大学で家具 の修復(ConservationとRestration)の勉強をして仕事に就い た後、大学院でさらに勉強したということでした。やはり、何事 にも勉強などの下積みが必要なのかと再認識すると共に、海 外で学校に行ったことがない僕は、英語で勉強してその勉強し たことを活かして仕事をするということが凄いと思いました。 1851年に開催されたロンドン万国博覧会の様子は、何度か話 を聞いたことがありますが、イギリスが特に繁栄していた時代 の 様 子 が 感 じ ら れ る 写 真 や イ ラ ス ト で し た 。万 博 で 自 国( 英 国)の製品が機能重視で美しくないことに気がついたことか ら、万博の収益金を元にアート・サイエンス・エンジニアリング を一つにした教育の現場を作りたいとの思いから、アルバー ト公により始められたということでした。万博終了後に持ち帰 られなかった展示品をどうするか、という問題もあったそうで す 。1 8 5 7 年 に 、の ち の V & A と な る サ ウ ス ・ ケ ン ジ ン ト ン ・ ミ ュ ー ジアムが造られ、志半ばで亡くなったアルバート公を偲んで、ヴ ィクトリア女王がヴィクトリア&アルバートミュージアムと改名 したそうです。現在の建物は、1919年に建築されました。所蔵 品は増え続けていて、現在は200万点以上あるそうです。1893 年にはサイエンス・ミュージアムが独立し、前回の10年後に開 催された2回目の万博の跡地にナショナル・ヒストリー・ミュージアムが建てられました。ヴィクトリア期のエンジニア・アー トの例として、下水処理場とは思えない Crossness Sewage Pumping Stationの写真を紹介いただきましたが、とても綺麗 で印象的でした。 そして、その頃日本では。。1852−54年黒船来航、1862年の第 2回ロンドン万国博覧会では、幕府使節団として40名ほどが送 られ、英国をはじめ6ヵ国を回ったそうです。その中の一人が、 若き日の福沢諭吉でした。若い福沢諭吉の写真を見たのは初 めてでしたので、興味深く、新鮮でした。テレビもインターネッ トもない時代の当時の「日本人」の目に映ったヨーロッパは、 どんなものだったんだろう、と思わずにはいられませんでし た。 話は、本題の修復について入っていきます。館内のガス灯によ る空気汚染などから、Conservationが始まったお話、1861年の Punchの記事でくしゃみによって、痰や鼻水が絵画についてし まうことを警告した記事、絵画にGlazing Doorがつけられるよ うになったこと、などのお話がありました。 V&Aの内部のグループがどのように分かれているのかのお話が あり、専門的に分担して仕事をされていることがよくわかりまし た。携帯電話で写真をとってインターネットで公開できるイン スタグラムが流行り出してから、展示物が壊されることが増加 し、応急措置の仕事は忙しいそうです。修復課の仕事は、状況 調査の書類を作成するパソコン作業の割合がほとんどだとい うことで、意外でした。なお、手先が不器用な人はあまり目指さない職で、実際に修復を行わない知識を活かしてできる部 署もあるとのことでした。

V&A Room123に、修復の過程がわかる展示が行われていて、 その説明がありました。修復のステージが1〜5まで1枚の絵画 の中でわかるようになっていて、目で見てよくわかりました。絵 画の断面図を見て、オリジナルから何回もの修復を経て現在 の状態になっている絵画を、どこまで直すのかを決めるという ことで、繊細な作業であることが伝わってきました。僕のよう に、細かな作業ができず、大雑把に考える性格ではダメなんだ ろうと思いました。修復士のみなさんに感謝です。 質問者からは、修復の仕事をしたいと長年思っていたという発 言があり、知る人ぞ知る(?)人気職業ではないかと思いました。 いろいろな分野で活躍されている日本人がいるんだと、改めて 感じました。(伊東ノリ)

● 3 月二水会部のお知らせ●


日 時:3 月 15 日(水)午後 8 時より

演 題:貴金属市場から見る世界の動き

講 師:ホワイトハウス佐藤敦子様
会 費:会員 無料 / 非会員 3 ポンド

参加申し込み:https://forms.gle/v7Szm8vmtGHDiQph8