日本の年金~制度、しくみ、手続について

海外在住者だから知っておきたい日本の年金~制度、しくみ、手続について」のまとめ

11月13日に先のセミナーがライフメイツ社会保険労務士事務所の蓑田透氏によって行われ、英国日本人会ナルク部でも参加してきました。そこで下記のようにまとめ、蓑田氏に確認をいただき、英国日本人会のサイトに掲載することを許可いただきましたのでご覧ください。

同日は次の内容でお話をいただきました。

年金制度概要

海外在住者が知っておくべきルール

事例

老齢年金以外の年金

手続き

関連情報

同事務所が提供するサービス

1.年金制度の概要

日本の年金は基礎年金とその上に乗る厚生年金や共済年金(2015年10月に共済年金は厚生年金へ統一)などの2階層が基本であること。これに、希望であれば追加国民年金基金や確定拠出年金を加えることができる。

また、これらに加入する人々は、サラリーマンや公務員で第2号被保険者として基礎年金が含まれる厚生年金への加入義務があり70歳まで加入ができ、それ以外の自営業者などの第1号被保険者は国民年金への加入義務があり、20歳から60歳の期間加入できる。そして、第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者は、第1号被保険者同様に国民年金

保険料の支払いは特例で不要とのこと。

月額年金保険料(2021年)

  • 国民年金16,610円
  • 厚生年金は月額給与の18%を事業者と従業員で折半。

老齢年金(2021年)

  • 基礎年金:最大780,900円(月額65,075円)で、これは40年(480か月保険料納付時)を案分。
  • 厚生年金:受給者によって異なるものの、2019年の平均受給額は月額約14.5万円(基礎年金との合計)。

なお、加入義務対象者以外は国民年金の任意加入が可能。これは、下記のような場合。

  • 60から65歳で満額に達していない場合や必要年数に足りない場合。
  • 日本国籍で海外居住者で満額に達していない20歳から65歳。
  • 先の場合は任意加入への変更手続きが必要。

また、基礎年金に任意で追加できる付加年金(月額400円)は、任意加入者も加入できる。

老齢年金の受給資格要件と受給開始年齢

  • 年金加入期間(被保険者期間)

受給資格要件:国民年金もしくは厚生年金に10年以上加入(2017年までは25年)。

  • 受給開始年齢

 受給開始年齢

生年月日(下記のリンクで年金機構のページを参照)により60歳から65歳。これを繰り上げ(60歳から64歳)や繰り下げ(66歳から70歳)へすることも可能。繰り上げの場合は0.5%x月数の減額。繰り下げの場合は0.7%x月数の増額


https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html

2.海外在住者が知っておくべきルール

在住している国によっては、日本との社会保障協定によるルールで、「通算適用」及び「二重加入防止」というルールがあり、日本と移住した国で年金に加入していた年数を通算できる場合があるが、英国は「二重加入防止」のみで、「通算適用」の協定がない。

しかし、居住国を問わず、日本国籍を保有していれば、日本に居住していなかった期間(カラ期間)の適用が可能で、日本での年金加入期間が10年未満でも居住していなかった期間をカラ期間として合算対象期間10年で年金受給資

格があり、受給額は支払った保険料を元に算出される。

3.事例

これについては個々で異なることから省略。

4.老齢年金以外の年金

  • 配偶者加給年金

65歳以降、配偶者を扶養するために老齢年金に上乗せされる年金。厚生年金に20年以上加入すると適用。

  • 遺族年金

残された遺族(配偶者)の生活を守るための年金。一定期間の保険料納付要件あり。

  • 障害年金

障害の原因となった疾病、負傷の初診日に被保険者である場合。一定期間の保険料納付要件あり。

  • 離婚時の厚生年金の分割

厚生年金の一部が配偶者の年金へ移管。

5.手続き

海外居住者が日本の年金の手続きを行う方法は、英国在住者は下記の二つ。

  • 直接訪問もしくは郵送
  • 代理人に依頼

その手続きの詳細は下記の通り。

  • 記録の確認(年金記録照会)
  • 全国の年金事務所では身分証明書のみで可能だが、年金手帳などの参考資料があればさらに良い。
  • 登録をすれば、ねんきん定期便や年金ネットで情報を得ることも可能。
  • 年金請求手続き
    • 在留証明書
    • 海外在住期間(カラ期間)の証明

戸籍の附票、過去の日本のパスポート、出入国記録

  • 年金申請手続きに必要な期間は約3か月から4か月

6. 関連情報

年金受取時の振込手数料について

  • 年金振り込みは2か月毎。厚生年金と基礎年金は別処理。
  • 日本の銀行での受け取りは無料(ゆうちょ銀行は不可)。
  • 海外口座での受け取りは、日本からの送金手数料は年金事務所が負担するものの、他の為替変換手数料及び受取手数料は受給者負担。

年金受給開始後の手続き

  • 65歳時の手続き(65歳の年金受給者の場合)
  • 現況届提出依頼が毎年送付され、それを在留証明書と共に提出
  • 一定額以上は租税条約に関する届出書(3年毎)
  • 社会保障協定国の年金制度については下記のリンクを参照。

https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/shikumi/index.html


その他

  • 受給権に5年の時効はあるものの、申請手続きに時効は無い。
  • 外国人でも日本で働き年金を10年間支払っていれば、年金を受給できる可能性がある。
  • 日本人配偶者に先立たれた日本人や外国人でも、例え年金請求を配偶者がしていなくても遺族年金受給の可能性がある。

7.  同事務所が提供するサービス

  • 無料年金記録調査サービス(年金加入期間、年金受給資格の有無、受給見込み額を調査等)
  • その後の申請手続き代行(希望者のみ、有償)
  • 老齢、障害、遺族年金、離婚分割の請求
  • 加入、解約、変更(住所や銀行口座)手続き
  • 必要書類等の案内
  • 英文文書の和訳
  • 手数料支払いは前払い(支給確定時の場合のみ)で、クレジットカードや銀行振り込みで可能

QAで話された追加情報について

  • 遺族年金は結婚期間や正式に結婚しているかは問われない。
  • 国外で任意で国民年金を支払う場合は、まず任意加入の手続きは必要。任意加入がされていない場合は、支払い分を払い戻してもらうこととなる。
  • ある一定額以上の収入である場合は、源泉徴収を避けるためには、租税条約に沿って申請。
  • 日本居住者でなくなるのは住民票があるか否か。しかし、日本に一時帰国時に短期間住民票を戻している場合は、カラ期間の判断が難しい場合がある。
  • 年金は国籍に関わらずもらえるものの、英国籍である場合は、通算期間が使えないために、日本で年金に加入していた期間が10年以上である必要がある。カラ期間は日本国籍である必要。

ライフメイツ株式会社/ライフメイツ社会保険労務士事務所の連絡先

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注意事項

本セミナーの内容についてはこれまで弊社が調査または取得した範囲での情報です。万が一間違っていた李、お客様手続き時に改正・変更されている場合があるため、内容についての保証はできかねます。お手続き時にはご自身で今一度関係機関等へ最新情報をご確認ください。本情報が原因でお客様に不利益が生じた場合でも、弊社(ライフメイツ株式会社/ライフメイツ社会保険労務士事務所)及び英国日本人会ナルク部は一切責任を負いません。