映画鑑賞会報告
7月17日(火曜日)pm1:00-上映作品『男はつらいよ寅次郎あじさいの恋』
「惚れて惚れられて、去って追われて甲斐性なくてーーーー。ユーモアの中に哀しさが漂う大人のラブストーリーを描いた名編」とリマスター版DVDの宣伝惹句が踊っていました。まさにその通りの「寅さんシリーズ29作目の」作品でした。

熱い日の続くロンドン市内でしたが、予想以上の映画ファンの皆様が22人も参加してくださり、楽しいひと時を過ごすことができました。会は、NEWリーダー、加藤啓子warburg会員の司会で順調にスタート。経理担当のジョンソン会員、従来から補佐役をお願いしている日出美会員、飛田まゆみ会員他のご協力により、映画同好会(近く名称変更予定)もステップアップしてまいります。
皆様方のご協力を心からお願いします。
今回の山田洋次監督の『男はつらいよ寅次郎あじさいの恋』は、松竹映画のメロドラマの伝統を感じさせる素晴らしい作品でした。音楽担当であった「故・山本直純」さんが、二人の大人の恋の場面にclassicギターの短い曲をあしらっていたことを発見、その効果が主人公寅さんのやるせない心情を十分に盛り上げていた。映画監督というものは、映画会社のシリーズ物(釣りバカ日誌、座頭市、眠狂四郎、網走番外地など)を監督することに疑問を感じることが多く、本来自らが表現したいテーマを大事に抱いているものです。しかし、この寅さんシリーズ製作の時代は、映画産業崩壊後の頃で大映をはじめ日活は倒産し、新たな会社に、東宝は製作を中止配給会社に特化、東映はヤクザ映画に傾倒。夢を売ってきた映画会社はTVはじめ新しい娯楽に譲っていた時代でした。
唯一商売になった映画がこの「寅さんシリーズ」でした。それだけに山田監督は大船撮影所ではなく、松竹の京都撮影所のスタッフと組んで、京都、若狭湾、丹後・但馬、彦根城そして鎌倉という従来彼が助監督時代に体験したロケーション場所に松竹らしいものを見出そうとしたのではーーー?
(文責 渡邉道英)