日時:2月14日(水)18:30より
会場:Farm Street Church (114 Mount Street, London W1K 2AH)
演題:「私が見た独裁者たち~中東を中心に」
講師:片山哲也(時事通信社ロンドン支局長)

二水会は、時事通信社ロンドン支局長の片山氏をお迎えし、独裁者に関する、貴重な体験談を伺いました。片山氏は、時事通信のカイロ、ニューデリー、ニューヨーク支局特派員を務められ、アラブやインド亜大陸、カナダ、国連など約30か国と組織をカバーされる中、フセイン大統領、カダフィ大佐、エムバラク大統領、ムシャラフ大統領等、一癖も二癖もある「独裁者」の失脚を目の当たりにしたそうです。独裁者とは、立法、行政、司法の三権を事実上掌握、軍や治安機関をコントロールする人物であるとのこと。二人の独裁者を例に取り、思い出話も交えながらお話し頂きました。

サダム・フセイン(イラク)
〇 特徴:自分の政敵を拷問にかけて大量殺害(25年間で死者・行方不明者25万人~アムネスティインターナショナル報告)、2003年英軍イラク攻撃、フセイン政権崩壊、2006年死刑宣告、絞首処刑
〇 国や市民の実態:警察国家、監視社会、外国人記者は市民のフセインに対する意見を聞くが、市民は体制批判は絶対に口にせず、恐怖の共和国、町にあふれるフセイン肖像画、米軍イラク攻撃5か月前の大統領信任投票では支持率100%(2002年)
〇 プラスの評価:カリスマ性があり、オーラが出ていて存在感有り。「国父」「国家開発の父」「国をデザインした男」と言われる。道や学校等開発
〇 一体何者だったのか:最後までよくわからない人物、非常に真面目な人、部屋にこもって本を読む人、動乱の時代に皆をまとめるトップダウンの人物を国が要請していたのではないか。イラクの歴史への誇りを持っている人。
カダフィ大佐(リビア)
〇 特徴:42年間、独特の風貌とファッション、国際テロを公然と支援、外国訪問時にはテント持参、リンチ状態で殺される
〇 国や市民の実態:警察国家、監視社会、大佐の悪口は絶対NG、イラク程抑圧的ではなく少しゆるい、お金で支持を買う、市民は彼がいなくなったらどうなるかという変化に対する恐れを持つ
〇 一体何者だったのか:真面目、他者に対する寛容がない、勉強熱心、27歳で最高権力者

最後に、現在、専制君主的な国であるサウジアラビアで若きムハンマド皇太子が進める経済、政治、社会改革にも注目されているとのお話しがあり締めくくりました。(参加者 15 名)