福祉コラム
本当の優しさ 「ヒナギクは、草の中に埋もれている自分に誰も目 を止めることがないことも、自分が貧弱でとるに足 らない花だ、ということも少しも気にしませんでし た。それどころか、心から満足して、まっすぐにお 日様を見上げながら、空でさえずっているヒバリの 歌に、うっとり聞きほれていました。」これは、ア ンデルセンの童話「ヒナギク」の一説です。ヒナギ クを通して、何もできない自分,欠けているところ のある自分を認め、満足することが人を優しくする、 という教えが隠されています。 「肉をくわえたイヌが、川に映った自分の姿を見て、 別のイヌが肉をくわえていると思い、肉を取ろうと して吠えた途端、くわえていた肉を落としてしまい ました。」これはイソップ物語の一つです。欲にか られて他人の物を欲しがる結果、不満がたまり、結 局、自分の持っているものまで失う不幸な生き方を 戒めています。「これさえあれば他に何もいらな い。」という確固たる満足感を持ち、運命を受け入 れ、他者と競うこともなくなり、人は優しくなれる...